尿酸値が高い状態、いわゆる痛風のことを言います。尿酸値が高い状態が続くと関節内に尿酸塩が析出し、その結果、痛みを認めます。
典型的なケースでは足の親指が腫れて赤くなり激痛を認めます。
高尿酸血症の治療の目的は次の4つです。
1.痛風発作を防ぐ。
2.尿酸沈着による合併症である腎障害(痛風腎)を防ぐ。
3.尿路管理を行い、尿路結石を起きないようにする。
4.高尿酸血症の患者さんは高血圧、血糖異常、脂質異常、肥満を合併することが多いため、これらの併発と心血管病変の進展を防ぐ。
当クリニックでは以上の点を考慮し、尿酸値を下げるだけでなく総合的な観点から患者さんの指導を行っております。
【高尿酸血症・痛風について】
1.高尿酸血症・痛風とは?
血液中の尿酸の値が正常を越えて増加を示した状態のことを高尿酸血症といいます。
尿酸の結晶が関節に沈着して引き起こされる病気が痛風です。足の親指の付け根に起こることが多く、激しい痛み、発赤、腫脹を認めます。血清尿酸値が7を超えると高尿酸血症と定義されます。
尿酸の値をみるときに「7」「8」「9」のルールがあります。
血清尿酸値が7を越えたら生活習慣の見直し、尿路管理をはじめ、8を越えて痛風発作の既往や尿路結石があれば、薬物治療をはじめ、9を越えたら積極的に薬物治療を考慮しましょうというものです。
(「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」より引用)
1.血清尿酸値が9以上の場合は薬物治療の適応です。
2.血清尿酸値が8以上で腎障害、尿路結石、高血圧、高脂血症、虚血性心疾患、耐糖能異常などの合併症がある場合にも薬物治療の適応です。
3.血清尿酸値が8以上9未満で上記合併症がない場合には生活指導が中心になります。
4.血清尿酸値が7以上8未満の場合は生活指導が中心です。
5.血清尿酸値が7以上でも痛風発作や痛風結節を認める場合には薬物治療の適応となります。
2.高尿酸血症には3つのタイプがあります。
血液中の尿酸が高くなってしまうのは、次の3つの理由によります。
(「生活習慣病としての高尿酸血症 知っておきたい治療と生活のポイント」鳥居薬品
監修 久留一郎先生から引用)
血液中の尿酸の値が高くなるのは、①尿中への尿酸の排泄が低下する(排泄低下型)②尿酸の産生が過剰になる(産生過剰型)③これらの両方の要因が混じっている(混合型)の3つの原因があります。
1.高尿酸血症・痛風になると困ること
高尿酸血症・痛風の方は次の4つのことに注意が必要になります。
1.痛風発作が起きる危険性がある。
2.尿酸が高いことで腎障害(痛風腎)が進む危険がある。
3.尿酸が高い患者さんは肥満の合併が多く、高血圧、高脂血症、糖尿病などの他の生活習慣病と一緒になって心筋梗塞、狭心症や脳卒中が起こる危険性が高くなる。
4.尿路の結石を併発することがある。
(「痛風なんて怖くない」 鳥居薬品 監修 大山博司先生から引用)
1.高尿酸血症・痛風の治療のポイント
治療のポイントは以下の4つになります。
① 痛風発作を抑える:痛風発作が起きないように食事、運動療法、必要なときには薬物治療を行っていくことが必要です。痛風発作時には発作治療の薬を使います。
(発作治療薬)
(1) コルヒチン:発作の前兆の時期(患部がむずむずしたり腫れたりする時期)に使用します。発作の極期にしようすると効果は乏しいと言われています。
(2)NSAID:急性炎症である痛風関節炎治療の中心薬剤です。軽快すれば投与は中止します。
(3)ステロイド:NSAIDが使えない場合や、NSAIDが無効な場合に使用します。
※ 痛風発作中に尿酸値が変動すると痛みがさらに強まると言われています。発作中,
尿酸値を下げる薬を飲んでいる人はそのまま服用を続け、飲んでいない人は発作がおさまってから飲み始め、発作中に尿酸降下薬を開始しないことを原則としています。
② 尿酸高値が持続することによる腎障害の進展を防ぐ:尿酸高値が続くと腎臓に尿酸が沈着し腎障害(痛風腎)が進むことがあります。尿酸値のコントロールを行い、定期的な血液検査により腎機能障害の程度も確認していきます。
③ 他の生活習慣病と一緒になって心血管病変(心筋梗塞、狭心症)や脳血管病変が進展することを防ぐ:尿酸値が高い方は肥満を合併し高血圧、高脂血症、糖尿病などの他の生活習慣病と一緒になって動脈硬化が促進され、心血管障害(狭心症や心筋梗塞)、脳血管障害(脳梗塞や脳出血)の危険性が高くなります。このため、血圧、脂質、血糖値などを全般的に改善しながら血清尿酸値を下げることが大事になります。
④ 尿路結石ができないようにする:尿酸は尿中に溶けて排出されます。ところが尿が酸性になっていると尿酸が溶けずに析出して尿路結石が起こりやすくなります。尿が中性になると尿酸が尿に溶けやすい状態になります。尿酸値が高い方は尿が酸性になっていることが多いので、尿検査で尿のpHを確認し、酸性に傾いているようであれば、尿をアルカリ化する薬を使用します。水分を多くとって尿量を多くすることも大事になります。この場合には水やお茶をこまめにとって尿量を1日2L以上にすることがよいとされています。ただし、水分制限が必要な方はよく相談をしてください。
※ 痛風発作の予防や合併症の予防を考慮して高尿酸血症・痛風治療の時の尿酸値の目標は6mg/dl以下に維持することが望ましいとされています。
2.高尿酸血症・痛風の患者さんが気をつけること
① プリン体を多く含む食品を取り過ぎないようにしましょう。
細胞の新陳代謝の時にできる老廃物が尿酸であり、体内ではプリン体という物質から作られます。このためプリン体を多く含む食品を避けることが大事になります。プリン体を多く含む食品、中等度含む食品をあげておきます。数字は食品100gあたりに含まれるプリン体の含有量です。1日の摂取量がプリン体として400mgを超えないようにすることが推奨されております。
(食事療法シリーズ 痛風 萬有製薬より引用)
①肥満の方は減量を心がけましょう。
BMI=体重(kg)÷身長(m)2が25を超えないようにしましょう。
②アルコールの摂取を制限しましょう。
アルコールはプリン体を含まなくてもそれ自体の代謝に関連して血清尿酸値を上昇させてしまうので、アルコールの種類を問わず過剰摂取は慎むことが大事です。尿酸値への影響は日本酒なら1合、ビールは500ml、ウイスキーは60ml(ダブル1杯)くらいから出現すると考えられているので、それ以下の摂取が望ましいと言えます。
③ 適度な運動をしましょう。
適正な体重(BMIで25未満)を目標にして有酸素運動を行いましょう。有酸素運動は体脂肪の減少、高血圧の改善、耐糖能障害の改善など高尿酸血症に合併しやすい種々の状態を改善します。
生活習慣病としての高尿酸血症から自分の体を守りましょう!
昔からいくつかの危険因子が重なると動脈硬化が起こりやすくなり、その結果として脳血管障害、心血管障害が引き起こされることが指摘されていました。そのような経緯からメタボリックシンドロームという概念が生まれています。
メタボリックシンドロームでは内臓脂肪が蓄積します。単に内臓脂肪がたまるというだけではなく、内臓脂肪の蓄積によって脂肪細胞から体を守る成分の分泌が減少し、逆に脂肪細胞から体を害する成分の分泌が増えてしまうことがわかっています。
メタボリックシンドロームの治療のポイントは次の2つに集約されます。
①メタボリックシンドロームの患者さんで、まだ高血圧症、糖尿病、脂質異常症を発症していない方の場合はそれらの疾患の発症を防ぐ。
②生命に関わるような脳血管疾患、心血管疾患の発症を防ぐ。
内臓脂肪の蓄積+下記3項目のうち2項目以上の危険因子=メタボリックシンドローム
必須項目
腹囲
男性85cm以上 女性90cm以上
+
3項目中2項目以上に該当
①中性脂肪 150mg/dl以上またはHDL-コレステロール40mg/dl以下
②収縮期血圧 130mmHg以上または拡張期血圧 85mmH以上
③空腹時血糖値 110mg/dl以上
①「高血圧」「高脂血症」「糖尿病」と動脈硬化
昔から、高血圧の患者さんは高血圧でない患者さんに比べて動脈硬化が進みやすく、 心筋梗塞、狭心症などの心血管病変や脳梗塞や脳出血などの脳血管障害になってしまう確率が高くなることがわかっていました。
同様に高脂血症の患者さんや糖尿病の患者さんも、それらの疾患がない患者さんに比べて心血管病変や脳血管障害が起こりやすくなることがわかっています。そのために、明らかに高血圧があったり、高脂血症があったり、糖尿病があった場合には、その治療目標は、それぞれの病気をコントロールして、最終的には心疾患や脳血管障害などの臓器障害をいかに防ぐかということにありました。
このように、明らかに診断基準を満たす「高血圧」「高脂血症」「糖尿病」の患者さんに対しては心疾患や脳血管障害の進展予防という観点も治療目標のなかに入っていました。
②メタボリックシンドロームと動脈硬化—ちょっと高めが要注意!
今までは、健康診断などで、中性脂肪がちょっと高いだけであったり、善玉コレステロールがちょっと低い値であったり、空腹時血糖がちょっと高い値であったり、血圧がちょっと高い値であったりしても、それぞれ、「高脂血症」「高血圧」「糖尿病」の診断基準を満たすことがないので、「このくらいの値であれば、高血圧や高脂血症、糖尿病とは言えないので、まあ、いいでしょう」とそのまま様子をみていくことが多かったのです。
ところが近年になり、内臓脂肪が蓄積している場合には、中性脂肪やHDL-コレステロールの値、血圧の値、血糖の値がそれぞれ高脂血症、高血圧、糖尿病という診断基準を満たすことがないようなわずかな変化であったとしても、それらの要因が重なると動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞などの心血管病変や脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が起こりやすくなっていることがわかってきたのです。
現在日本人の死因の第2位が心血管病変、第3位が脳血管障害になっています。将来、命にかかわる狭心症や心筋梗塞などの心血管病変や脳梗塞や脳出血などの脳血管障害から自分の身を守るためにも、メタボリックシンドロームの早めの診断とその対応が大事になります。
おなかの皮膚をつまんでみましょう! |
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| おへそのまわり、わき腹、腰のあたりをつまんでみて、指でたっぷりとつまめる脂肪は? | おなかの中身がパンパンにつまっていて、皮膚が伸びきっていると指で脂肪をつまむことが出来ません。 | |
| ↓ | ↓ | |
| 皮下脂肪のタイプです。 | 内臓脂肪のタイプです。 | |
内臓脂肪を減らすことが大事です。内臓脂肪を減らすための基本は「食事療法」と「運動療法」になります。食事、運動療法を行うと、まず、減っていくのがこの内臓脂肪です。
腹囲1cmを減らす(=体重1kを減らす)のに、約7000kcalの消費が必要です!
腹囲1cmを減らすためには体重を1kg減らす必要があります。そのために必要なカロリー消費量は7000kcalと言われています。このカロリー消費を食事療法だけ、あるいは運動療法だけで消費することは難しいと考えられます。このために、メタボリックシンドロームでは「食事療法」と「運動療法」が車の両輪のように、治療の中心となってきます。
①まずは自分の標準体重を知ろう。
メタボリックシンドロームにおいて内臓脂肪の減少が大事です。そのためにまず、つかんでおきたいことがご自身の標準体重です。標準体重は以下の計算式で計算します。
標準体重=身長(m)×身長(m)×22
例) 身長160cmの場合 1.6×1.6×22=56.3kg となります。
標準体重は決してこの体重が目標値というわけではなく、ひとつの目安の値です。
②標準体重をもとに計算される1日の適正な総摂取カロリーを知ろう。
(総摂取カロリー)=(標準体重 kg)×25-30kcal
(例) 標準体重が60kgの方の場合
(総摂取カロリー)=60×25-30kcal=1500-1800 kcalとなります。
③目標体重を設定しよう。
何事も自分の目指すところが決まらなければ物事は成就しません。まずは自分の健康管理は自分で行うことを心に決めましょう。そして目標とする体重を決め、現在の体重との差の値を求めましょう。
④目標体重に至るまでに必要な消費カロリーを計算しましょう。
⑤必要な消費カロリーを食事療法、運動療法でどのように消費するか、分けて実行しましょう。
例)体重80kgの方が30日間で78kgを目標とした場合。
30日間で必要な消費カロリーは(80-78)×7000=14000kcalとなります。
このカロリーを食事、運動療法で均等に分配すると
食事療法の分としては30日間で7000kcal(1日あたり233kcal)の減量、
運動療法の分としては30日間で7000cal分の運動量(1日あたり233kcal)の増加となります。
自分の行った運動がどれくらいの消費カロリーになるのか、なかなか簡単にはわかりません。そのような方は以下のHPを参考にしてください。
運動でのカロリー消費をつかもう(下記HPで運動による消費カロリーが算出されます)
(1)ダイエットナビ
http://kurashi.hi-ho.ne.jp/diet/style/input03.html
(2)http://homepage2.nifty.com/a-fujita/p01.html
(3)http://www5b.biglobe.ne.jp/~yuustar/sbw_eecl.html
自分が食べた食事がいったいどれくらいのカロリーになるのか?これも簡単にはわかりません。 そのような方は以下のHPを参考にしてみてください。
(1)http://homepage2.nifty.com/WM/calorie.htm
(2)簡単!栄養andカロリー計算
http://www.miwa-mi.com/project/calorie/
メタボリックシンドロームの治療の基本は前述した「食事療法」「運動療法」になります。 メタボリックシンドロームに対する治療においては、残念ながらまだ特効薬はない状態です。
【治療の目標】
1. メタボリックシンドロームによってもたらされる心血管病変、脳血管病変の進行を抑制する。
2. メタボリックシンドロームの方でまだ、高血圧、高脂血症、糖尿病を発症していない方は
これらの病気が発症することを抑制する。
1.2.の目的のために使用する薬としての特効薬はありません。従来は血圧の薬として、高脂血症の薬として、糖尿病の薬として使用されている薬の中にも動脈硬化を予防したり、糖尿病の発症を予防したりする効果がある薬があることが少しずつわかってきております。しかし、メタボリックシンドロームの根本的な治療薬の開発、あるいは効果が十分に期待される薬の登場にはまだ時間がかかると考えられます。
メタボリックシンドロームは心血管病変、脳血管病変の危険因子となっています。
早期診断、早期対応によって心血管病変、脳血管病変から自分の体を守る努力をしていきましょう!